「ギグワーカーを守れ」 動き出す欧州 デジタル時代の法整備めざす
記者解説 欧州総局・和気真也、編集委員・沢路毅彦
欧州連合(EU)の行政府、欧州委員会が昨年12月、スマホのアプリなどで配達などの仕事を単発で請け負うギグワーカーの環境を改善する法案を発表した。最低賃金や有給休暇などの面で雇用労働者と同等の扱いが受けられるようになるかもしれない。
欧州各国はコロナ禍で人々に外出制限を課すロックダウン(都市封鎖)を断続的に導入した。外出できないために利用が増えたのが、ネットで近くの飲食店や商店から料理や生活用品を取り寄せられるサービスだ。その配達員は店の従業員ではなく、配達依頼をスマホのアプリを介してその都度請け負うギグワーカーであることが多い。
「ギグ」は音楽用語で、ライブハウスなどでゲストとして一時的に演奏に参加することを意味した。それが、ネットを介した単発の働き方を指す言葉として使われるようになった。
ギグワーカーの大半は個人事業主だ。働く時間や場所を自分で決められるのが魅力で、家族を優先したい人、副業をしたい人にとって好都合でもある。ギグワーカーに頼る企業の代表例が米国発のウーバー。タクシーの代わりに個人が運送を請け負うサービスで成長し、飲食宅配代行のウーバーイーツも日本を含む各国で展開している。
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