薄毛はなぜいじられるのか 2万人アンケートで見えた「同調圧力」
金融機関に勤める男性(33)は大学を卒業後から急に前髪が後退し、いまは毛髪がほぼない。3代続けて薄毛といい、「サラブレッド」と自称するほど、あっけらかんとしている。
それでも引っかかることがある。あるとき取引先との商談で「照明はいらないですね」と言われ、笑いが起きた。真面目な話に移っているのにしつこく絡まれ、そのつど愛想笑いをしたが、内心腹が立った。
取引先の中小企業の社長から「治療をしろ」と突然言われたことも。「ミスしたら『ハゲのくせに』と陰口をたたかれるだろう。自分から弱みをつくるな」と説得された。よかれと思った助言かもしれないが、のみ込めなかった。
幼稚園に通う息子を迎えにいったとき、ほかの園児が「お父さんハゲだ!」とからかうのを耳にした。自分はよいが、息子がどう思うか不安になる。
「なんで薄毛だと、他人からネタにされないといけないのか……」
「容姿いじり」は差別だ、という意識は高まるが、「薄毛」については希薄ではないか。PR会社のシンクタンク「日本パブリックリレーションズ研究所」はこんな考えから、毛髪をからかったり、いじったりする行為を「髪ハラスメント」と位置づけ、実態を調査。昨年5月にネット上で全国の30~60代の男女2万人を対象にアンケートした。
アンケートでは、「薄毛」に悩む人とそうでない人の意識のギャップがあらわになりました。「薄毛ネタ」が盛んだった芸人の世界でも、容姿いじりは近年鳴りを潜めています。1万人以上の芸人を指導してきた吉本興業の漫才作家、本多正識さんに実情を聞きました。
茶化され、引きこもりも
「薄毛の悩みや気になること…
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