娘に「突然死」のリスク 治らぬ病、壊れかけた家族 父は決断した

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堀之内健史
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 2008年の夏。谷岡哲次さん(44)は生後半年の長女、紗帆さんの異変に気づいた。

 食べ物を取ろうとする手が震えていた。

 その後も気になることが相次いだ。つかめたはずのスプーンやお気に入りのおもちゃが、つかめない。できたはずのずりばいが、できない。

 違和感が少しずつ大きくなり、地元大阪の大学病院に連れていってみた。だが、MRIで検査しても原因はわからない。

 1歳になっても、「あー」「うー」などの言葉は発するが、「パパ」と教えても言ってくれなかった。

 別の病院で脳波も調べた。異常は見つからなかった。

 頻繁に手を口に入れる行動と歯ぎしりを繰り返すことが気になっていた。

 何げなくインターネットで検索してみた。

自分の行いが悪かった?

 “手を口に入れる 歯ぎしり”

 ある女性が娘について書いた文章がヒットした。自分の娘の症状とそっくり。女性の娘の病名も書かれていた。「レット症候群」。

 知らない病気だった。さらに調べた。

 “女児に起こる進行性の神経疾患”

 “根本治療は研究段階で不治の難病”

 次の言葉で吐き気をもよおした。

 “小児期から思春期にかけて…

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