アナザーノート 経済部・神谷毅記者
約3年の韓国勤務を終えようとしていた4月、ソウルであいさつ回りをしていた。赴任先は福岡だと言うと、「初めての日本旅行は福岡だ」「飛行機に乗って約1時間でおいしい刺し身が食べられる。外国という感じがしない」などなど、韓国と九州の近さを感じさせる前向きな話であふれた。
そして福岡へ。「4月までソウルにいました」とあいさつをすると、料理がおいしい、などの話題が多いと想像していたのだが、ちょっと違った。
「BTSやドラマ、最近の韓国は元気だ。日本は抜かれてしまったのだろうか?」。よくこんな質問を受けた。
ニュースレター「アナザーノート」
アナザーノートは、紙面やデジタルでは公開していないオリジナル記事をメールで先行配信する新たなスタイルのニュースレターです。今回は6月12日第94号をWEB版でお届けします。
年初の韓国で報じられていたニュースを思い出した。一部の韓国メディアに、「日本が韓国にG7の地位を奪われる日がくるかもしれない」(中央日報)などの見出しが躍った。野口悠紀雄・一橋大名誉教授が日本の雑誌に「日本の経済規模が韓国の半分になる」といった趣旨の記事を書いたことを受けた報道だった。
デジタル活用、韓国が先行
いま経済における「日韓逆転」を示すデータを挙げようとすれば、いくらでもある。経済協力開発機構(OECD)によると、購買力平価による1人あたりGDP(2020年)で韓国は5万3050ドル、日本は4万8810ドル。18年に日韓は逆転した。
購買力平価とは、物価の水準…