第1回水原希子さんの#MeToo 性被害のない映画界へ「声上げ一歩を」
映画界で性暴力の告発が相次いだことを発端に、文化芸術界を中心に「私も」と声を上げ、また被害者を支え連帯しようとする動きが広がりつつあります。俳優やモデルとして活躍する水原希子さん(31)も、悩み苦しみながら、自身の体験について語った一人。「声を上げられる人が声を上げて連帯していくことが、まず第一歩」と話します。米国の映画界から世界を変えた#MeTooムーブメントが、日本の文化芸術界でも起き始めています。
みずはら・きこ
1990年、米国生まれ。2010年、映画「ノルウェイの森」で俳優デビュー。出演映画に「へルタースケルター」「進撃の巨人」「あのこは貴族」など。モデル、デザイナーとしても活躍。インスタグラムで約680万人のフォロワーがいる。18年に所属事務所から独立し、個人事務所で活動している。
――映画など文化芸術界で、性暴力の告発が相次いでいます
「芸能界に入って十数年経ちます。もちろんすべてを知っているわけではないですが、様々な話を聞いていて、例えば映画の撮影でセクシュアルなシーンがあったとき、プロデューサーや助監督が立場を使って無理やり現場に入ってきて、嫌な思いをしたという話や、共演者である大御所の俳優に自分は(陰部を隠す)前貼りを貼らないと主張され、「お芝居のため」と言われると嫌だと言い出せなかった、という話も聞きました。ある監督と仕事したけどセクハラされて嫌だったとか、気をつけたほうがいいとか、仲間の中ではそういう話は常にありました」
「問題はずっと存在していたと思うけど、ようやくちょっとずつ声を上げる動きが出てきた。もっとちゃんと問題を皆で認識して、映画業界、芸能界全体が変わっていけるような形になっていくのであれば、やっぱり声を上げることはすごく意味があると思います」
映画業界にいられなくなったとしても
――今回、水原さんも自身の体験について週刊誌やSNSなどで発信しました
「出演した作品で、プロデューサーからアンダーヘアを出すよう繰り返し要求され、『見せません、見せる必要を感じていません』と伝えても、『見せられないのであれば、剃(そ)ってウィッグをつけるのはどうか』と言われ、危機感を感じました。今回、声を上げることに関しては、すごく悩んだんです。でも、そのプロデューサーについて別の女性たちが告発した記事を見たとき、衝撃を受けました。私より、もっと深刻でもっと悪質で、ショックを受ける内容だった。この告発を無駄にしないで、(自分も)ちゃんと起きたことを話したほうがいいと思った。そして何より、今後同じような被害を受ける方が出ないためにも、自分の名前やヌードになったことを前例のように使われるようなことがないように、今言おうと思ったんです」
映画界で性暴力やハラスメントの告発が相次いだことを発端に、文化芸術界で「#MeToo」の動きが広がりつつあります。問題の背景に何があるのか、今何ができるのか。声を上げた人、被害者を支え連帯する人たちに聞きました。
《※朝日新聞はプロデューサーに取材を申し込みましたが、記事の配信までに回答はありませんでした》
「でも、とにかく苦しくて…
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