「ゴールデンカムイ」野田サトルさんがめざした「かっこいいアイヌ」
明治時代の北海道を舞台に、「不死身」の異名を持つ元兵士とアイヌ民族の少女が日本軍や脱獄囚らと金塊の争奪戦を繰り広げる人気漫画「ゴールデンカムイ」(集英社「週刊ヤングジャンプ」)が完結した。北海道出身の作者、野田サトルさんが書面インタビューの形で、8年近くに及ぶ連載を終えた今の心境を語ってくれた。
ゴールデンカムイ
週刊ヤングジャンプ(集英社)で2014年から連載開始。明治末期、日露戦争での戦いぶりから「不死身」の異名を持つ杉元佐一は北海道の原野でヒグマに襲われたところを、アイヌの少女・アシ●(小文字のリ)パに助けられた。2人は道内のどこかに隠されたという金塊探しの旅へ出る。手がかりは網走監獄を脱獄した囚人らの背中に彫られた謎の入れ墨。いずれも一筋縄ではいかない脱獄囚たちや大日本帝国陸軍第7師団、新撰組の残党らが入り乱れ、壮絶な金塊争奪戦が繰り広げられる。
――「ゴールデンカムイ」の連載は4月28日発売号で最終回を迎え、7月19日には単行本の最終31巻が発売されます。既刊の累計発行部数が2300万部を突破するなど大ヒットしました。
「大ヒットと言われるのはお恥ずかしいのですが、完結のタイミングで日本漫画家協会賞をいただくことができました。思えば、マンガ大賞、手塚治虫文化賞、大英博物館の企画展キービジュアルに抜擢(ばってき)していただくなど、たくさんの方々に評価していただいたことは、胸を張ってもよいだろうと思います」
長期連載の着地「難しい」
「終わりたいときに終わらせてくれた担当編集者の大熊八甲さんと編集部に本当に感謝してます。TVアニメや実写映画化など作品以外のことはあまり考えずに引き延ばすこともせず、集中して完結できたと思います」
「長期連載ですと着地は難しいはずなんですけれど、最終回が掲載された後、すぐに単行本の全巻重版がかかり、その後もまたすぐに全巻『大重版』をかけていただけたことから、多くの読者がこの作品を肯定してくれたということがわかって安心しました」
野田サトル
北海道北広島市出身の漫画家。2003年デビュー。11~12年に週刊ヤングジャンプで高校アイスホッケー漫画「スピナマラダ!」(全6巻)を連載。「ゴールデンカムイ」の単行本累計発行部数は2300万部を超える。16年にマンガ大賞、18年に手塚治虫文化賞を受賞した。
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