第3回オレンジの光とザクロのような父の唇の記憶 子に説くのは「愛の心」
林敏行 佐藤英法
爆心地から約3・5キロの江波本町(広島市中区)。笠岡貞江さん(89)は、車が入れない路地をどんどん進む。大通りから3分ほどで、白壁の蔵がある実家に着いた。
「日の出の太陽にオレンジ色を混ぜたよう。そりゃあきれいな色でした」
朝日新聞広島版で14年続く連載「聞きたかったこと」。 約400人が被爆体験とその後の人生を語ってくれました。被爆77年の今年、忘れられない「あの場所」で再び話を聞きました。 当時の記事も再録しています。
12歳、ここで被爆した。庭から居間に入った直後、背後のガラス戸が光って割れた記憶は、今も鮮明だ。
庭にはまだ青く堅いザクロの…