第4回増える暴力装置、「賢く」なる監視 中国の人権に日本ができること
中国は新疆ウイグル自治区の人権状況などを巡って世界から厳しいまなざしを向けられています。習近平(シー・チン・ピン)総書記が党大会をへて権力強化を進めると見られているなか、中国の人権状況はさらに後退するのでしょうか。中国の人権問題に詳しい東京大学の阿古智子教授に聞きました。
阿古智子さん
あこ・ともこ 1971年生まれ。東京大大学院総合文化研究科教授。専門は現代中国研究。2001~03に在中国日本大使館専門調査員。著書に「貧者を喰(く)らう国」など。
――習氏が率いた10年で中国の人権状況にはどんな変化があったのでしょうか。
中国の人権状況は急速に悪化しているというのが現実だと思います。もちろん胡錦濤・前総書記の時代にも人権派の活動家の方々が拘束されることはありました。ですが、習氏の時代になって起きた顕著な変化は、やはりデジタル監視による統制が強化されたことではないでしょうか。
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、新疆ウイグル自治区やチベット自治区では住民のDNAのサンプルを大量に採取していると指摘しています。ビッグデータを構築し、効率的に監視をするためです。
香港は「一国二制度」がありそこまでできませんでした。ただ、2020年に国家安全維持法が施行され、実質的に香港基本法の上に立つような法律ができて、共産党の統治が香港により強く及ぶようになっています。
さらにコロナ禍が大きな転機となりました。大陸の「ゼロコロナ」政策が香港にも適用されるようになり、お店に入るためにQRコードを読み込んで自分の行動を報告しないといけないような仕組みになっています。
今後、デジタル監視は香港でも加速していくのではないかと思います。
■コロナの監視、言論統制にも
――中国ではコロナ禍が大衆…
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