大鍋で煮込んだうどんを箸で「ぐいっ」と持ち上げると、何本かが鍋に落ちる。汁が飛ぶ。これが不作法だ。やらかしてしまった私に、北の湖さんは笑いながら「ダメですよ、ヨカタじゃないんだから。そんな取り方しちゃ」。いえ、私はヨカタです。ちなみに、前にも書いたが、「ヨカタ」とは一般人という意味の角界隠語だ。
鍋から麺を少し持ち上げたら、すぐに手元の器に入れる。そして、麺を鍋肌に沿わせて器に引っ張り込むように、うどんを入れる。これなら、汁が飛ばない――。という角界の作法を北の湖さんから教わった。役に立つ知識か分からないが、これを知っていると、力士や親方衆と鍋を囲む時に「どこで教わったの?」と喜ばれる。
「下積みが…」 21歳で横綱になった北の湖さんの冗談
ところで、鍋に最も合う野菜は、何か。
「焼き肉のたれ」で知られる…
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