保育士の配置基準、10年前の約束どこへ 「子どもは声を出せない」
田渕紫織
約10年前、保育制度をめぐって、ある「約束」がなされた。政府が、保育士1人あたりみてよい子どもの数を定めた、国の「配置基準」を見直すというものだ。
保育現場で痛ましい事故が起きるたび、人手不足の問題にも焦点があたるが、財源の問題などから先送りされてきた。
子どもの安全を守るのもギリギリという現場の状況は、いつになったら改善されるのか。
配置基準見直しの議論は、10年前にさかのぼる。
2012年、自民、公明、民主の3党は「社会保障と税の一体改革」に合意。消費税を増税する代わりに、社会保障を持続可能にすることがうたわれた。
この中に、配置基準を見直し、現場の保育士を手厚くすることも盛り込まれた。
「配置基準などの保育の質の保障は、とっくに議論が熟しているはずだった」。政府の「子ども・子育て会議」の委員を務め、政策提言に長く関わってきた恵泉女学園大学長の大日向雅美教授はこう語る。
「皮肉なことだが、コロナ禍…
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