藤井聡太少年が巣立った原点の桜 「名人をこえたい」と語った日
桜舞う季節の5日、将棋の名人戦は開幕する。史上最年少の名人を目指す藤井聡太竜王(20)=王位・叡王・棋王・王将・棋聖と合わせ六冠=が渡辺明名人(38)に挑戦する。決戦に臨む竜王の原点をたどるため、幼少期に通った愛知県瀬戸市の将棋教室を訪ねた。
瀬戸川沿いに咲き誇るソメイヨシノは雲ひとつない青空に映えた。3月29日午後、淡い色の花びらが舞う河川敷で駒音が鳴る。16人の子供たちは夢中になって将棋を指している。近所にある「ふみもと子供将棋教室」が1998年の開所直後から続ける「花見将棋」の風景だった。
かつての藤井少年も、対局の合間に桜を見上げる日を待ち望む一人だった。教室を主宰する文本力雄さん(68)は生徒たちを引率しながら当時を懐かしむ。「聡太は毎年楽しみにして、欠かさず参加していました。将棋はもちろん誰よりも強いんですけど、花見を終えた後の駆けっこも誰より速かった。プロレスごっこも大好きでした」
5歳の時、藤井は祖母に贈られた盤駒で将棋と出会った。すぐに没頭し、もっと強くなりたいと願い、自宅に近い「ふみもと」に通うようになった。
記事の後半では、9歳の藤井聡太少年が「花見将棋」を楽しむ秘蔵写真や「名人をこす」と書いたカードも公開します。恩師の文本力雄さんは語ります。「聡太は名人になって終わりなんじゃなくて、始まるんでしょう」
週3回、幼児から中学生までの生徒が集う教室の方針は単純明快。定跡を覚えること、詰将棋を解くこと、たくさんの対局をすること。そして実力より礼儀を重んじた。文本さんは今も元気な声を記憶している。「こんばんは! 20級の藤井聡太です! 今日もよろしくお願いします!」
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