撮り鉄の心くすぐる復刻色一堂に 2万8千円の撮影会が30分で完売

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原田悠自
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 茨城県内にある車両基地で開かれている鉄道の撮影会に、車両の写真撮影が好きな「撮り鉄(とりてつ)」と呼ばれるファンが集結している。6月にあったイベントには、撮影料が1時間で2万8千円という高額にもかかわらず、予約開始からわずか30分で完売したという。どんな魅力があるのか。

 「貴重すぎる」「迫力がすごい」

 6月10日、JR東日本の車両基地「勝田車両センター」(茨城県ひたちなか市)を訪れた50人が、周囲を見渡しながら目を輝かせていた。

 お目当ては、JR常磐線の特急「ひたち」や「ときわ」として走行しているE657系の車両撮影会だ。緑、紅、黄、青の限定カラーに塗り替えた特別車両4編成が基地に停車していた。中でも青の車両は、今回が初のお披露目だった。

通常カラーの車両も「サプライズ」で登場

 正午から午後1時までの1時間限定のイベント。参加した50人は、動き回りながら立ったり座ったりして、額の汗をぬぐいつつ黙々とカメラのシャッターを切っていた。

 終盤には「サプライズ」として、通常カラーの車両も到着。計5編成が同じ場所に並ぶと、歓声が上がっていた。

 撮影料は1人税込み2万8千円。企画したJR東日本水戸支社によると、5月22日に事前予約が始まると、ものの30分で定員の50人に達した。常磐線沿線の住民だけでなく、九州や関西から申し込む人もいた。

 なぜここまで人気なのか。実は、E657系の車体に施された限定カラーには、撮り鉄の心をくすぐる特別な意味がある。

 支社によると、E657系の限定カラーは、今年10月に始まる大型観光企画「茨城デスティネーションキャンペーン(DC)」を記念して企画された。

かつての特急を色を復刻

 限定カラーは全部で5種類を想定。これは、1997年から2013年まで常磐線の特急「フレッシュひたち」として親しまれたE653系の復刻色だった。

 当時の車体のデザインには、特急が走行する茨城県や福島県の観光名所などをイメージした色が選ばれていた。緑色(霞ケ浦と帆引き船)、紅色(梅と好文亭)、黄色(ひたち海浜公園とスイセン)、青色(塩屋埼の海岸と灯台)、だいだい色(袋田の滝と紅葉)といった具合だ。

記事後半では、企画を考えたJR東日本水戸支社の担当者の思いや、限定カラーの車両を一堂に集めるための工夫が語られます。

 ファンにとっては、「どの色…

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この記事を書いた人
原田悠自
水戸総局|キャップ
専門・関心分野
調査報道、社会問題、事件・事故・裁判