83回目で合格、ガーナ人のタクシー運転手 話せても…日本語の壁

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浅倉拓也
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東京でタクシー運転手に

 東京都内で90代の女性が、歯科医院から自宅へ帰るためタクシーを拾った。運転手は外国人の男性だった。

 「とてもいい運転手さん。親切で」。女性は杖を使ってゆっくり降車すると言った。運転手が外国人でも気にならないという。「日本語も分かっていらっしゃるし。日本人の運転手でも怖い人いるでしょ。怖い人はいやなの」

 運転手はガーナ人のハッサン・カリムさん(48)だ。2006年にサッカー関係の仕事を求めて来日。様々な仕事を経験し、永住権も得た。

 世界の大都市で移民のタクシー運転手は珍しくないが、日本では多くない。仕事で必要な語学力はそう変わらないはずだが、日本では就労資格の問題とは別に、言葉が大きな壁になっている。

 ハッサンさんは最近まで携帯電話やパソコンの販売店で働いていたが、人と接する機会が多く、より自由に働けそうなタクシー運転手に憧れ、日の丸交通(東京都文京区)に入社した。

 同社は運転手の人手不足や高齢化が進む中で、「ダイバーシティー(多様性)」を社是に掲げる。さまざまな人材を受け入れることは、働き手の確保だけでなく、客のニーズに幅広く応えることにもつながると考えるからだ。

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この記事を書いた人
浅倉拓也
大阪社会部
専門・関心分野
移民、難民、外国人労働者
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