「遠ざけ」こそが差別の温床に ハンセン病意識調査から見えた根深さ
ハンセン病をいま、人々はどうとらえているのか。国は今年度中に、全国的な意識調査を初めて実施する。これに先駆けて専門家による研究チームが兵庫県尼崎市と熊本市を対象に調査した。結果からは、なお残る差別や偏見の実態が浮かび上がってきた。
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両市で調査をしたのは、「日本解放社会学会」の研究チーム。9月中旬、関西学院大(同県西宮市)で開かれた同学会の大会で、結果の概要を報告した。
対象は、選挙人名簿からそれぞれ無作為で抽出した3千人。尼崎市民から362人(回収率12・1%)、熊本市民から388人(同12・9%)の回答を得た。
全36の設問には「ハンセン病問題について、どの程度知っているか」という総論から、具体的な状況を想定した設問もある。
「ハンセン病を知っているか」については尼崎市民の6・4%、熊本市民の3・7%が「まったく知らない」と答えた。
肉親の結婚相手がハンセン病家族だったら?
「肉親の結婚相手がハンセン病家族だと分かったらどうするか」という問いに、両市合わせて5・8%が「結婚を諦めろと説得する」と答えた。「本人の意志を尊重する」は69・5%で「どちらともいえない」が24・8%だった。
行政主導で患者を徹底的に隔離した「無らい県運動」については尼崎市で74・4%、熊本市でも57・0%が「まったく知らない」と回答した。
関学大の金(キム)明秀(ミョンス)教授は、属性も踏まえ内容を分析。結婚問題の回答などからわかるのは、「自分は無関係だと思いたい」「距離を置きたい」という「遠ざけ」の心理で、ハンセン病差別の大きな要因だとみる。
地域や性別、年代は影響するのか
差別意識に関して、地域や性…
- 【視点】
気になったのは、調査した2つの地域の違いだ。 調査対象の熊本は、大規模療養所が立地している場所で、裁判で立ち上がった原点でもあり、いまも入所者さんが住んでいる「ホット」なところ。 そして兵庫・尼崎は、療養所のない、いわゆる、患者を送
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