ピロリ除菌、胃に異変後でも遅くない 「変身細胞」の悪さストップ

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田村建二
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 胃の粘膜にピロリ菌が感染したままだと、やがて粘膜に異変が生じて胃がんにかかるリスクが高まる。早めの除菌が望ましいが、たとえ異変が生じてしまってからでも除菌したほうがよいメカニズムを解明したと、星薬科大や国立がん研究センターなどのチームが論文として報告した。かぎは胃にできた「変身細胞」にあった。

 ピロリ菌の感染をそのままにしておくと、慢性胃炎が起きて胃の粘膜が萎縮し、あちこちに変身細胞が出現する。「腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)細胞」と呼ばれ、もともと胃の細胞だったものが、ピロリ菌感染の影響で腸の性質をもつ細胞へと変化したものだ。

 内視鏡検査などで変身細胞が確認された段階は胃がんの「前がん状態」とも呼ばれ、この段階でもピロリ菌を除菌したほうが胃がんになりにくいことが過去の調査で示されてきた。

胃がんの前は胃の細胞? 変身細胞?

 ただ、変身細胞が現れた段階で除菌することが、どのようにして胃がんの発症を抑えるのかについてはなぞだった。

 研究チームは、手術で胃を摘…

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この記事を書いた人
田村建二
科学みらい部
専門・関心分野
医療、生命科学