東大寺と能・狂言、不思議な縁 野村萬斎、裕基親子が橋村別当と対談

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構成・今井邦彦
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 狂言師の野村万作、萬斎、裕基の親子3代が10月16日、奈良市世界遺産東大寺の初代別当(住職)、良弁(ろうべん)僧正の1250年御遠忌(ごおんき)に合わせて開かれる「東大寺狂言」に出演する。公演を前に、萬斎と裕基が会場となる東大寺を訪問し、橋村公英別当に面会。寺と能・狂言の不思議な縁などについて語り合った。

 萬斎 大仏殿の前では過去に何度か公演をさせていただいています。2006年には聖武天皇1250年御遠忌に慶賛(きょうさん)した能狂言会に参加し、能の「安宅(あたか)」にも出演しました。源義経と弁慶の一行が、東大寺の大仏さまを利用した「大うそ」で関所を通ろうとする話。それを大仏さまの目の前で上演したんです。観衆からは舞台の向こうに時々、大仏さまの手やお顔が見えて、手のひらの上での人々の営みを見下ろしていらっしゃるように感じられたのではないでしょうか。

 裕基 私は2年前、リモート配信公演で「三番叟(さんばそう)」を舞わせていただきました。五穀豊穣(ほうじょう)を祈念するものですが、それを仏さまの前で舞うことは、ご加護を得ているような、とても新鮮な体験でした。

 萬斎 その時も父(万作)が「奈須与市語(なすのよいちのかたり)」、私がラベル作曲のボレロに合わせて舞う「MANSAIボレロ」を演じた親子3代共演でした。ボレロは東日本大震災からの復興を祈念して作った演目で、今回も舞わせていただく予定です。コロナ禍が落ち着き、再びお客様の前で舞台に立てることへの「お礼の舞」とも言えるでしょうか。

 橋村 お二人は東京を拠点に…

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この記事を書いた人
今井邦彦
専門記者|歴史・文化財
専門・関心分野
歴史、考古学、文化財、サブカルチャー