脳死下の臓器提供、1千件へ 増加傾向もドナー足りず 法施行26年
1997年10月16日の臓器移植法施行から26年。脳死となった人からの臓器提供は、国内で間もなく1千件となる。提供数は増加傾向で、2023年は過去最多となっている。だが、希望する多くの患者が移植を受けられず、国内の提供者(ドナー)数は世界的にも少ない状態が続いている。
10月16日は、家族や大切な人と「臓器移植」や「いのち」について話し合い、考える「グリーンリボンデー」だ。
脳死下の臓器提供は、①「移植のために臓器を提供する」という意思を本人が表明していて、家族が提供を拒まない場合②本人の意思が不明で、提供することを家族が書面で承諾した場合にのみ可能となる。
「提供したくない」という意思も尊重される。事前に「提供したくない」と意思表示していた場合は、臓器が移植に使われることはない。
10月15日時点の脳死からの臓器提供は996件。近く1千件となる見通しだ。朝日新聞は、臓器移植ネットワーク(JOT)が公表した9月末までの991人分のデータを分析した。
ドナーの年代をみると、働き盛りの世代が多いことがわかる。50代が225人(23%)と最多で、40代が196人(20%)だった。15歳未満の子どものドナーは47人(5%)、60代以上は144人(15%)。性別は男性が約6割、女性が約4割だった。
法施行後、初めて脳死からの臓器提供が行われたのは1999年。本人が事前に提供意思をドナーカードなどで示す必要があり、当初は年数~十数件にとどまった。
法改正により2010年からは、家族の承諾で提供ができるようになり、大幅に増加。23年は100件(15日時点)で、過去最多となっている。
日本臓器移植ネットワーク(JOT)によると、国内で移植を希望し登録する人は、時期によって増減はあるが、約1万6千人。昨年1年間に移植を受けたのは455人(心停止後の提供も含む)で、年約3%しか移植を受けられていないことになる。
ドナーが少ない背景には、提供の意思表示をする人が増えていないことや、提供に関わる医療機関の体制が整っていないことが挙げられている。
16日は、グリーンリボンデーにあわせ、東京タワーなど各地でライトアップが行われる。
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら