ファンが「推し」を殺した後にやりたかったこと ゆがんだ欲求の先に

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佐野楓 御船紗子 谷瞳児 三井新
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 東京・池袋のラブホテルで昨年7月、「地下アイドル」の女性(当時18)が殺害され、ファンだったという男(39)が起訴された。「推す」「推される」という相互の関係が事件にまで発展した背景には何があったのか。判決が指摘したのは、「一方的な怒り」。そして、「独りよがりな欲求」だった。

 9月下旬、東京地裁であった初公判。被告は白いワイシャツに青色のネクタイ姿で出廷した。1年あまり前の逮捕時には黒髪が目元まで伸びていたが、丸刈りとなり、髪は真っ白になっていた。

 ホテルの一室で女性の首を絞めて殺害し、頭部を包丁(刃渡り17・5センチ)で切断して損壊した――。殺人と死体損壊、銃刀法違反の罪で起訴された内容を、被告は「間違いありません」と認めた。

 検察側と弁護側の冒頭陳述などをもとに、事件に至った経緯をたどる。

 被告は高校卒業後、宝石店やファストフード店などに勤務。実家で母親と2人で暮らしていた。当初はメジャーグループのアイドルが好きだった。だが、10年近く前から、ライブハウスなどを中心に活動し、ファンとの距離が近い地下アイドルに関心を抱くようになった。

 女性と知り合ったのは2019年秋。東京・錦糸町であったイベントに出かけた際、アルバイトとして働いていたのが女性だった。その後、女性が働く歌舞伎町のコンセプトカフェにも通うようになった。

 女性は中学生のころ、姉と一…

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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2023年11月26日8時10分 投稿
    【視点】

    地下アイドル系ビジネスは、客側の「ささやかな人生逆転的な幸せをワンチャン手に入れられるかも!」的な射幸心を煽ることで成立する面があるため、「ここでこう気を付けておけば!」という結論が無いあたりに根本的な闇を感じる。 SNS全盛の状況にて、

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    松谷創一郎
    (ジャーナリスト)
    2023年11月26日23時4分 投稿
    【視点】

    「地下アイドル」と言ってもさまざまです。メジャーレーベルとの契約を狙う野心的なグループもあれば、水商売の副業でやっているようなものもあります。 また地下に限らず日本のアイドルの多くは、音楽よりもコミュニケーション(接客)に力点を置いて

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