第3回聞こえるけど「わからへん」 発達障害の娘、新たな生きづらさの理由
「うそをつくの、やめなさい!」
小学校3年生の長女に、今日も大声を上げてしまった。大阪市に住む浦綾子さんは、「もう限界だ」と感じていた。2年前のことだ。
長女はしょっちゅう、同級生ともめ事を起こした。その理由を尋ねても、長女の説明はその都度コロコロと変わる。それが日常茶飯事だった。
「うそをつくと、周りの人も傷つく」と伝えたのに、なぜ何度もうそをつくのか。浦さんは理解できなかった。
それ以外にも、いろいろと問題があった。朝は時間通りに起きられない。学校に行っても、授業中は居眠り。宿題はやらない。ノートの字もいつもぐちゃぐちゃ。毎日、何かを注意しては、けんかに発展する。親子関係はもう最悪だった。
ところがある日、その原因がわかった。
きっかけは、4歳離れた次女とのやりとりだった。幼稚園への登園を前に「早く着替えて」と早口で伝えると、次女はどうすればいいかわからない様子で、その場で固まってしまった。別の日も早口で話すと、また固まってしまった。何かがおかしい。
「ね、ママが言っていることは聞こえている?」。試しに聞いてみた。
「うん……。聞こえるけど、何を言っているかわからへん」
聞こえるのに、わからない。そんなことがあるのか。
浦さんは「早口がわからない…