第2回養殖農家から10億ドル企業CEOに 急成長企業、アジアでなぜ増加
「アプリで自分の池の魚が売れる? 最初は疑っていました」
インドネシア西部、西ジャワ州スバンの山間にネンディ・ヌグラハさん(41)は暮らす。12月上旬、車のアクセルをベタ踏みしなければ登れないような坂道をいくつも越えて、彼の養殖池を訪ねた。
村の主な産業は川魚の養殖だ。山のわき水で食用のティラピアやコイを育てている。ティラピアは炭火で焼いたり、揚げたりして食べる庶民の味だ。
10年前に養殖を始めたネンディさんは、魚が大きくなるたびに頭を抱えた。稚魚は3カ月で出荷時期を迎えるが、決まった取引先がなく、買い手を見つけるのに苦労してきたからだ。
村に出入りする仲卸業者は少なく、魚は市場価格よりも安い値段で買いたたかれることもあった。1カ月かけて、電話で宣伝し、バイクで村を走り回って、買い手を探したこともある。
そんな時、人づてに国内の漁業ベンチャー企業「eFishery」のサービスを知った。スマートフォンのアプリを通じて、魚を販売できるという。
アプリはフェイスブックとメッセージのやりとりぐらいでしか使ったことがなかった。半信半疑だったが、「家族の生活を安定させたい」という気持ちが勝った。2022年、サービスを受けることに決めた。
池の数2倍、売り上げ8倍
漁業ベンチャー「eFishery」起業の原点は創業者の学生時代の体験でした。ある方法で学費を捻出したことがビジネスのヒントとなりました。
魚の販売はアプリで収穫時期…