覚える世界史を「考える」に 教壇に戻った校長のノート使わない授業

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遠藤和希
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 板書の時間を極力減らし、生徒はノートを使わない。暗記中心の教育のあり方を変えたいと、今春に校長から教壇に戻り、「対話を重ねる授業」を実践する世界史の先生が、長野県伊那市の高校にいる。歴史について「様々な情報から何を事実として見いだすのか、意識して欲しい」との願いを込め、覚える世界史から、考える世界史への転換をめざした授業を続けている。

 伊那弥生ケ丘高校で「世界史探究」の科目などを担当する小川幸司教諭(57)。2022年度に、世界史と日本史を融合して新たに導入された高校の新科目「歴史総合」の立ち上げにあたって、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)のワーキンググループでその設計にも携わった。

 小川さんの授業でノートを使わないのは、限られた55分間の授業で板書の時間を減らして、対話の時間を確保するため。その代わりに生徒は、教科書に線を引き、黒板に書かれた補足の説明を書き込む。ユーチューブなどで現地の映像も交えて理解を広げる。

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 試験前には参考書を使うこともあるが、普段の授業では対話の時間を大事にする。

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この記事を書いた人
遠藤和希
長野総局
専門・関心分野
空き家、循環社会、鉄道の将来、通貨危機など
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    佐倉統
    (東京大学大学院教授=科学技術社会論)
    2023年12月31日12時11分 投稿
    【視点】

    「今」はすべて過去の歴史の産物である。だから、高校で歴史、とくに世界史をしっかり学ぶことはとても大事だ。世界史の知識なしに今の世界情勢を理解することはできないし、これからの自分たちの姿を思い描くこともできない。だから歴史学は本来は考える力を

    …続きを読む
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    井本直歩子
    (元競泳五輪代表・途上国教育専門家)
    2023年12月31日13時26分 投稿
    【視点】

    こんな先生がいたら、世の中でいま起こっていることも、もっと理解できて面白いだろうなぁと思う。人生の半分以上を海外で暮らしているが、友人たちの歴史を取り入れながらのディベートは聞いていてとても面白く、私はしばしば取り残された気分になる。世界史

    …続きを読む