台湾総統選で民進党の頼清徳(ライチントー)氏が新総統に当選しました。中国が「独立派」とみなす頼氏の当選によって今後も中台関係の緊張の高まりが想定されます。福田円(まどか)・法政大教授(中台関係)は、中国がすぐに大規模な軍事演習を行うことは考えにくいものの、台湾海峡周辺での軍事活動を活発化させる可能性を指摘しています。また、日台関係をめぐっては、日本は憲法に基づく軍事的制約を示しつつ、台湾との協力を進めていく必要があるという見方を示しました。
――現総統の蔡英文(ツァイインウェン)氏よりも対中強硬といわれる頼氏が新総統に決まった影響をどう考えますか。
「台湾独立の仕事人」と自称したこともある頼氏は、独立色が強すぎるのではないかという内外からの懸念もあり、選挙期間中、蔡氏の路線を継続すると訴え続けていました。今後、頼氏が自身の政策チームをつくるにあたり、実際にどんな行動をとるのかを見ていく必要があります。
ただ、頼氏も当選した以上は当然、2期やりたいと思っているでしょう。1期目の間に大きく政策を変えることは、よほどのことがない限りないと思います。
ただ、近年は2期8年で政権交代が続いていた台湾で、民進党政権が8年以上続く結果になったことは注目すべきです。台湾の人々の間で「私は中国人でなく台湾人だ」という意識がかなり定着していることの表れだと言えます。
これは、中国から見ると深刻な事態です。ただ、中国は表向きにはそういう態度を見せず、頼氏の得票率があまり高くなかったことや、立法院(国会に相当)選で与党・民進党が過半数を維持できなかった結果を捉えて、「民進党候補が当選したが台湾の民意は中国との対話を求めているんだ」と主張してくると思います。
台湾市民は日本に友好的ですが、日本の防衛政策に対する理解はあまり深くないと福田教授は指摘します。その「無邪気な信頼感」の危うさを記事の後半で説いています。
――総統選と立法院選の結果…
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