傾いた雑居ビル、凸凹の道――。能登半島地震は、石川県有数の温泉地、和倉温泉(七尾市)にも被害をもたらした。大津波警報が出るなか、2千人以上の宿泊客にけがを負わせずに高台に避難させ、無事に帰路へと送り出した。その裏には、日夜培ってきた「おもてなし」があった。
年末年始、温泉街はひときわ活気づく。和倉温泉旅館協同組合によると、加盟する22軒(計約1300室)は、約9割が埋まっていた。
震度6強の揺れが温泉街を襲ったのは、そんなタイミングだった。
「おもてなし日本一」で知られる「加賀屋」。1906年に創業し、旅行会社が投票する「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で36年連続総合1位に輝いた。元日も客室はほぼ満室の状態だった。
けが人がいなかった理由は何だったのでしょうか。各旅館の奮闘と待ち構える厳しい試練を紹介します。
午後4時10分、支配人の道…