「あの時何をしたら…」避難所の性被害 行動する傍観者でいるために

有料記事ダイバーシティ・共生

臨床心理士・みたらし加奈=寄稿
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Re:Ron連載「みたらし加奈の 味方でありたい」第6回

 【加奈さん、こんばんは。いつも連載を楽しみにしています。

 私は3.11、東日本大震災で被災しました。何もわからないまま逃げて、そこから長い時間を避難所で過ごしました。

 いろんな人の助けがあって、いまも命がつながっていますが、正直避難所での生活は思い出したくありません。そのなかで、1.1に起きた能登半島の震災を見ていろんなことがよみがえり、いてもたってもいられずにメッセージを送りました。

 情報にもあるように、私が気になっているのは性被害のことです。私の過ごした避難所でも、今考えたら「性被害だな」と思うようなことがたくさん起きました。つきまといや声がけもあったし、実際に接触を迫られた人もいます。でもニュースにはなりませんでした。私自身はそのような被害には遭っていませんが、「怖かった」という相談に乗ることはありました。

 あの時自分が何をしたらよかったのか、いまでもわかりません。被災地にいる人たちは、いまも色んな状況に置かれていると思います。ただでさえ大変なときなのにそれにつけ込んでくる人がいるのも許せないし、避難所にいる女性が安心できる場所を作るためにできることがあれば発信してほしいです。いま避難所にいる人たちにとっては難しいことかもしれないけど、情報を知っているのと知らないのではまったく違うと思うんです。よろしくお願いします】(相談者・きょう)

 さまざまな想(おも)いが込み上げてくるなかで、こうしてメッセージを送ってくださり、ありがとうございます。

 最近、肌身で感じているのは「被災地についての報道が減ってきているのではないか」ということです。国内外で起こるさまざまな出来事が優先的に報道され、実際に被災地で起きていることが私たちの手元に入ってきづらくなっているような気がしているのです。被災地では、いまもなお支援が必要な人々が多く残されています。被災をされた全ての方に、一刻も早い支援が必要だと感じています。

 被災地でおこる性被害については、近年まで報道されることはほとんどありませんでした。

 それどころか、「都市伝説だ…

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