第2回言葉が分かって見えた、母の本当の姿 台湾「新住民」の子どもの思い
台北=岡田玄
外国にルーツを持つ子どもたちのアイデンティティーを支えるため、親の母語を「新住民語」として小学校で教える――。台湾当局が2017年にそう決めたとき、学生代表として検討委員会に加わっていたベトナムルーツの女性がいます。自身が子どもの頃に差別的な扱いを受けた経験から、「私のような思いをする子はもういらない」と委員に立候補したといいます。
劉千萍さん(26)の母はベトナム出身だ。ブローカーの仲介で台湾にきて、建設作業員だった台湾生まれの父と結婚した。
劉さんは6歳で母と離され、祖父母の家で育てられた。「ベトナム人の子どもは勉強ができないから、きちんと勉強させる」というのが理由だった。父の妹が母親代わりとなった。
母は近くに住んでいたが、中…