性暴力が「戦争の兵器」に 血の流れた街で、女性たちに起きたこと

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チャド東部アドレ=今泉奏 ニューヨーク=遠田寛生
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 アフリカ北東部スーダンで続く戦闘が泥沼の内戦状態に陥り、家を追われた人たちが1千万人を超えた。住民ら1万4千人以上が殺害され、性暴力も相次ぐが、国際社会の関心は低く、「忘れられた紛争」になりつつある。何が起きているのか。

 「血が流れた街で、女性たちに何が起きたのかを知ってほしい」

 昨年10月、チャド東部のアドレ。隣り合うスーダン西部ダルフールから逃れてきたスーダン人難民の黒人女性(27)は、記者に語り始めた。

 スーダンの国軍と準軍事組織「即応支援部隊」(RSF)の戦闘が昨年4月に始まり、1カ月が経とうとしているころだった。早朝から、アラブ系が中心のRSFの戦闘員が銃を放つ音が街に響き渡った。大通りの両側から逃げ惑う住民を銃撃。川に逃げ込み、流される人もいた。

 女性は祖母と近くの空き家に逃げ込んだ。ほかの家族とは、はぐれた。

 声を押し殺して身を縮めた。足音が聞こえ、7人の戦闘員が入ってきた。1人の男が女性を見つけて、問いただした。

 「あの団体で働いているだろ?」。よく見ると、近所の顔見知りだった。女性がDV(家庭内暴力)や性暴力を受けた地元女性の支援団体で活動していることを知り、やってきたのだ。

 右肩に銃を突きつけられ、「…

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この記事を書いた人
今泉奏
ヨハネスブルク支局長|サハラ以南アフリカ担当
専門・関心分野
アフリカ、植民地主義、グローバルサウス
Think Gender

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男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]