「人口の半分が人道危機」泥沼化するスーダン 国際社会の傍観と謀略
アフリカ北東部スーダンで昨年4月から続く戦闘で、国内外に避難した人が1千万人を超えた。戦闘の背景には、中東諸国のほか、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の存在もあるとされ、泥沼の内戦状態に陥りつつある。
「国際社会は、中東や欧州の戦争ばかり気にしている。ここは、誰も助けてくれる人がいない」
スーダンに隣接するチャドのアドレ難民キャンプで、モハメド・ムスタファさん(43)は、そうぶちまけた。スーダンに対する国際社会の関心は薄く、人道支援は滞り、状況は悪化している。
国際移住機関(IOM)は昨年末時点で、人口約5千万のスーダンで国内外に計1070万人が避難しており、「世界最大の国内避難民危機」と報告した。スーダンはアフリカで3番目に国土が広く、一部の人を除き、国外に逃れるのは難しい。IOMは、今回の戦闘開始前に避難していた人も含めて国内で900万人、国外に170万人が家を追われているとみる。
とくに首都ハルツームや西部ダルフールで、多くの人が避難を強いられている。国軍が支配的だった首都周辺の一部でも、対立する準軍事組織「即応支援部隊」(RSF)が主導権を握りつつある。RSFが拠点とするダルフールでは、黒人系住民の殺害が相次ぐ。
約20年前のダルフール紛争では、アラブ系と黒人系の対立が激化。以降、黒人系住民の迫害がたびたび繰り返されてきた。今回の戦闘開始をきっかけに、黒人系住民への攻撃は歯止めがかからなくなっている。
「6月までに50万人が死ぬ」壊滅的な飢餓
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によると昨年11月末、ダルフールでRSFの戦闘員らに1300~2千人の黒人系住民が殺害された。国連によると、戦闘で1万4千人以上が犠牲になっているとみられる。さらに多くの死者がいる可能性が高いと指摘する報告もある。
戦闘開始の直後は、日本人を含む外国人の「退避劇」に注目が集まった。当時、日本人は国際協力に携わる人やその家族ら約60人が滞在。大半がハルツームから沿岸部まで陸路で移動し、自衛隊機で近隣国のジブチまで逃げた。
支援関係者の不在もあり、避…
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