「剛直な速球派」の建築が共同体つくる プリツカー賞の山本理顕さん
建築を通し共同体のあり方を問い直してきた――。そんな評価を得て、建築家の山本理顕さん(78)が、建築のノーベル賞といわれるプリツカー建築賞に決まった。その歩みは、建築や社会の制度、既成概念へ異議申し立てを続けた闘いの連続ともいえる。
「建築と共同体は双方向の交流があるべきで、山本さんはそれを巧みに美しく実現する力がある」
今回の審査委員長、チリの「社会派の建築家」と目されるアレハンドロ・アラベナさんは7日、東京での会見でこう評した。同じ日、両氏らは山本さん設計の横浜市の子安小学校を訪問したという。山本さんは「小学生や先生が受賞を喜んでくれた」と語り、感激の涙を流した。
さらに、報道陣の姿を見て、「みなさんに取材していただいて、自分が少しはいい建築家なんだなと思いました」と話した。
一方で受賞決定時、本人は「僕は作品性を求めるタイプの人気建築家ではなく、潮流から外れていると思う」とも。内外で多くの実績を残すが、確かにメディアをファッショナブルに彩るタイプではない。さらに、同賞を受けている1941年生まれの安藤忠雄さんや伊東豊雄さんと、やはり受賞者の50年代生まれの妹島和世さんや坂茂さんに挟まれた45年生まれで、目立ちにくい面もあった。
そんな山本さんは、野球で例えると「剛直な速球派」といえる建築家だ。
「原理に基づいて私は建築をつくった」と記したことがあるように、自分が正しいと思う方法、デザインをストレートに示す。与条件や施主の要望を従順に受け入れがちな建築家もいるなか、希少な存在だろう。
■社会を変えるために愚直に提…
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