第2回トイレ改修できない! 人員削減と業務量も加わり、「残酷立」の声

有料記事国立大の悲鳴 法人化20年

山本知佳 増谷文生
[PR]

国立大学が法人化されて、この春で20年。この間の政策や環境変化は、大学にどのような影響を与えたのか――。朝日新聞社は1~2月、学長と教職員に対し、この20年を振り返るアンケートを実施した。自由記述欄も含めた37問に、学長は全86大学の92%に当たる79人が回答。教職員は全国大学高専教職員組合の協力を得て実施し、407人から回答を得た。それぞれの回答を元に、国立大の置かれた現状を考える。

 金沢大学生の一人ひとりが安心して使えるトイレを少しでも増やしたい――。金沢大は昨秋、キャンパス内のトイレ改修費を集めるためクラウドファンディングを行った。

 同大が現在地に移転して30年余り。改修時期を迎えたトイレの便器は、約300ある。女性が和式を敬遠し、「洋式待ち渋滞」で休み時間にトイレに行けないといった不満も寄せられていた。

■2カ月で寄付額355万円

 だが、電気代などの高騰もあり、自己資金だけでは長い時間がかかる。そこで寄付を集め、便器の洋式化や、床面の塗り替えなどの改修を前倒しすることにした。2カ月間で、目標額を上回る355万円が集まり、大学側の思惑は当たった。

 トイレなどの施設整備費用は、国から配られる「運営費交付金」でまかなわれる。ほかにも、人件費や光熱費、教育研究費などに使われる。国立大が法人化した2004年度から15年度までの間に、全体で1470億円が減らされた。現在は、約90の国立大学法人などに計約1兆1千億円が投入されている。ただ、うち1千億円は若手研究者比率などの「共通指標」の達成状況などによって、配分に差がつけられている。

 朝日新聞社が国立大法人化2…

この記事は有料記事です。残り625文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
増谷文生
論説委員|教育担当
専門・関心分野
教育(主に大学)、運輸