目標は9割加入のフィンランド コープさっぽろにみる生協の可能性

有料記事

新田哲史 佐藤亜季
[PR]

攻める「コープさっぽろ」:4(完)

 北欧生まれのキャラクター「ムーミン」がデザインされたベビー服や毛布、おむつなど5万~6万円相当の赤ちゃん用品が箱いっぱいに詰まる。北海道の生協コープさっぽろが、第1子の出産を控える組合員に無償で贈っている「ファーストチャイルドボックス」だ。

 道内では第1子として生まれる赤ちゃんの半分がこの箱を受け取る。産婦人科などで同じムーミンの服を着た赤ちゃんが並ぶ光景も珍しくない。

 2児を育てる札幌市の保育士、辻広子(39)は6年前に受け取った。「いろんなものが入っていて助かった。車を持っていないので、出産後の買い物も(宅配サービスの)トドックを使うようになって楽になった」

 コープは2018年からこの事業を始め、19年からは第2子以降にも小型のボックスを贈る。1~2歳児に計8冊(当初は4冊)の絵本を贈る取り組みも10年以上続く。宅配センターやスーパーには、壁掛けのおもちゃや滑り台を備えた子どもの遊び場も併設している。

 組合員は50代以上が74%と高齢化が進むが、こうした子育て支援もあり、近年は若い世代の組合加入が増えている。22年に加入した世帯は30代以下が4割を占めた。

 買い物やサービスの利用に応…

この記事は有料記事です。残り1040文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
佐藤亜季
北海道報道センター|経済担当
専門・関心分野
経済、出産・子育て、外国人との共生
  • commentatorHeader
    富永京子
    (立命館大学准教授=社会運動論)
    2024年4月26日8時10分 投稿
    【視点】

    生協(あるいは生活クラブなどもでしょうか)は一種のコミュニティ運動、消費者運動として議論されることが多いので、出資者と客が同じという経営面からの入山先生のコメントは印象的です。やや閉鎖性が高いため、外部からの監視が重要になってくる点も、社会

    …続きを読む