地元の酒米で日本酒を プロジェクトの行き詰まり打開した「人の縁」

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中島秀憲
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 神奈川県厚木市で唯一の造り酒屋が「地元で栽培した酒米で日本酒を造りたい」と動き出して約3年。この春ついに、その酒ができあがった。「地域の魅力を知ってもらうきっかけになれば」。その思いに共感した人のつながりが、新たな酒を生み出した。

 創業206年。丹沢のふもとに位置し、豊かな伏流水で酒造りを続けてきた黄金井酒造(厚木市七沢)。専務の黄金井陽介さん(44)は以前から地元の酒米を使いたいと考えてきた。だが、近隣で酒米を栽培する農家はなく、これまではすべて他県から仕入れてきた。

 「酒造好適米」と呼ばれる酒米は、普段食べる「飯米」と比べて粒が大きく、精米時に割れにくい。酒の味を損ねるたんぱく質の含有量が低いのも特徴だ。ただ、稲の丈が高く、実が大きいため倒れやすいといった生育の難しさがあり、栽培農家は限られている。

 端緒は2021年秋、厚木市などで地域の魅力発信に取り組む任意団体「TSUMIKI」の酒井涼旦郎(りょうたろう)さん(31)と黄金井さんが話をする中で、地元酒米による酒造り実現をめざすプロジェクトを思いついた。

栽培農家が見つからない、そのとき

 ところが、いざ探してみると…

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