定年間際 57歳からの英語留学にかき立てた「あのイヤな気持ち」

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聞き手=浜田陽太郎
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 昭和生まれ、57歳の英語が苦手な会社員が、1カ月間フィリピンのセブ島で英語留学しました。仕事で英語が必要ということはまずない。あと3年経てば定年退職。逃げ切りは可能。それでもリフレッシュ休暇を取り、「英語漬け」になるために海外に出るほどのモチベーションはどこから出てきたのでしょうか。そして、上達のほどは……? 同い年の記者が聞きました。(聞き手=浜田陽太郎)

――英語は苦手だったんですか。

 はい。中学生のときにつまずきました。英語の先生と反りが合わなかったんです。ふてくされて、授業を真面目に聞かなかったらどんどん置いていかれてしまって。

 それ以来、英語はずっと苦手科目でした。大学受験でも、もう少し英語ができれば、偏差値が上の学校を狙えたと思います。大学の専攻は日本文学でした。

あの「イヤな気持ち」を克服するために

――仕事でも英語は必要なかったと。

 会社は基本的に国内のお客さん相手の商売です。本当に必要なときは通訳を使いました。

 ただ、ごくたまにですが、パーティーなどの集まりで海外の方とお目にかかるとき、英語で二言三言だけ簡単にあいさつしたら、あとは頭が真っ白になる。これがイヤだったんですよね。

 あとは、自分の仕事と関係する海外のニュースがSNSなどで回ってきた時など「英語ができたら、より深く内容を理解できるのにな」と残念な気持ちになりました。

――これまで「英語苦手」を何とかしようとはしてきたのですか。

 はい。今回の留学前、段ボール1箱分くらいの語学の本やCDがごっそり見つかりました。妻が「こんなに出てきたよ」と掘り出してくれたのです。

 何度もコンプレックスを克服しようとして挫折した歴史ですね。

――今回「プチ留学」に踏み切ったのは、どうしてだったんでしょう。

 勤務先にはリフレッシュ休暇…

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この記事を書いた人
浜田陽太郎
論説委員|社会保障担当
専門・関心分野
社会保障、定年後
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    小西美穂
    (関西学院大学総合政策学部特別客員教授)
    2024年6月16日9時54分 投稿
    【視点】

    この記事が特に面白いのは、同い年の記者がインタビューしている点です。同じ年齢だからこそ、聞きたいところを的確に押さえ、「加齢で記憶力が落ちるのがハンデになりませんでしたか」といった聞きづらい質問もしています。このアプローチが、読者にとって共

    …続きを読む