悪用や中傷に負けない 人気キャラ「ずんだもん」を救ったファンの力
愛らしいイラストと特徴的な音声で、ネット動画で大人気となったキャラクター。利用規約の自由度が高いことから、日常生活紹介や解説動画など様々な動画がつくられ、YouTubeなどで人気を博した。
ところがその人気ゆえに、ヘイトスピーチや陰謀論、選挙活動への利用など「悪用」される事例も目立つようになった。
動画が次々と投稿されるためキャラクターを管理する運営会社のチェックも追いつかない事態となったが、ファンを巻き込んだ対策が、キャラクターをネットの負の側面から浄化させた。
匿名の個人から巨大企業まで
枝豆を模した耳、少年のようにも少女のようにも思える見た目。そして「●●なのだ」と特徴的な口調。宮城県の郷土料理「ずんだ餅」をモチーフにした「ずんだもん」は、SSS合同会社(仙台市)が企画・運営するキャラクターだ。
同社は2011年1月に東京で起業。当時はくまモンなどのご当地ゆるキャラが流行し、「次はかわいい女の子の地方キャラクターが出てくるだろうと考えていた」と同社CEOの小田恭央さん。だが、2カ月後に東日本大震災が起きたことで状況は一変した。
小田さんは大阪出身で、学生時代に阪神淡路大震災を経験した。「日本中の人が神戸を助けに来てくれた。東北で震災が起きたとき、次は我々の番だと思った」。コンテンツの力で東北復興に貢献しようと、同社が生み出した女の子の地方キャラクターが「東北ずん子」だ。東北に本社がある企業なら、手続き不要で無償で商業利用などができるようにした。
この東北ずん子の関連キャラとして登場したのがずんだもん。当初は小さな妖精の姿だったが、転機となったのは21年。無料で使える音声合成ソフトにずんだもんの声が入り、さらにそのタイミングで妖精から女の子の姿に変身した。
このソフトの登場で、ずんだもんの声を使って無償で自由に動画を作れるようになり、もともと幅広く利用できたイラストもあわせてゲーム実況動画や解説動画などを作成する人が増えた。新型コロナ禍で家で過ごす人が増えたことも、こうした動きを後押しした。
ずんだもんは22年に「ネット流行語100」に選ばれ、最近はトヨタ自動車がずんだもんを使った動画を作成するなど、人気はますます高まっている。
都知事選であふれたずんだもん動画
しかし、問題のある使われ方も増えた。
SSS合同会社がHPで公開…