損保4社、契約者情報を相互共有 背景に悪しき慣行「テリトリー制」

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柴田秀並
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 損害保険各社の契約者情報が、代理店を兼ねる自動車ディーラーなどを通じて他の損保に漏洩(ろうえい)していたことが発覚し、金融庁が調査に入った。少なくとも2018年から行われており、関与した代理店は延べ830社を超えると、損害保険大手4社が明らかにした。顧客情報が競合他社に共有され、長年それを黙認してきた。背景には、業界の悪(あ)しき慣行があるとみられる。

 漏洩の疑いのある代理店は、東京海上日動火災保険238社、損害保険ジャパン268社、三井住友海上火災保険151社、あいおいニッセイ同和損害保険176社に上る。

 損保各社などによると、主に保険代理店を兼ねる自動車ディーラーが、メールで自動車保険の契約者情報を損保各社に送っていた。契約者の氏名や証券番号、満期の時期、保険料などだ。

 今年4月、東京海上の社員が他部門から自動車部門に異動し、不審な情報共有に気づいたという。社内調査の結果、個人情報保護法などに抵触しうる情報の漏洩と判断し、他社にも連絡した。各社は現在、原因や影響を調べており、「保険代理店と乗り合い損保間の業務連絡におけるリスク認識が不足していた」(東京海上)、「全容把握を行うとともに再発防止策を実行していく」(損保ジャパン)などとしている。

 なぜ自社の貴重な契約者情報を、ライバルの損保と共有してきたのか。複数の関係者によると、「テリトリー制」と呼ばれる業界の独特な仕組みが浮かび上がる。

 主な舞台となったディーラー…

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