立つことしかできないかと…祇園祭の稚児人形、修復で正座の機能判明
京都・祇園祭の山鉾(やまほこ)の一つ、鶏鉾の保存会(京都市下京区)は27日、鉾に乗せる稚児人形の修復を終え、報道陣に披露した。修復の過程で、正座ができる機能があることが判明した。かつて鉾には子どもが乗り、生き稚児と呼ばれたが、稚児人形も立ったり座ったりでき、その姿に近づけようとしたとみられる。
稚児人形は幕末の1863(文久3)年に作られ、鉾に乗せて巡行してきた。ただ、経年劣化が著しく、文化庁や府、京都市の補助を受けて2023年度に全身の亀裂などを修復した。明治時代以降に修復された可能性もあるという。
稚児人形は立つと高さ約130センチ。保存会では、立つことしかできないと考えられていた。そのため、保管する際には胴体と手足を離し、長年町内に伝わる高さ約105センチの木製の箱に胴体だけを納め、手足は別の箱に入れていた。
正座すると、高さは約85センチ。木製の箱には正座した状態で納まることが確認されたという。
7月17日の前祭の山鉾巡行で鉾に乗せるが、正座姿は披露しない。ただ、巡行前の13日午前10時から午後9時、下京区の鶏鉾ビルで正座姿を公開する。拝観料は500円。
稚児人形のほかに、鉾の屋根に使われる2本の軒桁も披露された。江戸時代後期に作られたとみられ、全長は4・75メートルほど。黒漆塗りで、鉄線唐草の文様が金具で施されている。
金具の欠損が目立ち、21~22年度に修復された。昨年の巡行から使われているという。
保存会の坂本篤史代表理事(56)は「稚児人形がまさか座れる仕組みになっているとは驚いた。できるだけ多くの人に見てもらいたい」と話す。
問い合わせは保存会(075・352・3223)。