ナッツ風味の在来そば、活性化の起爆剤に 研究者に教えられた価値

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清水康志
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■連載「在来作物はいま」受け継ぐ人たち(3)

 山形県鶴岡市中心部から南に車で約40分。摩耶山などの山あいにある人口約220人の越沢(こえさわ)集落には、県内外から多くの客が足を運ぶそば店がある。

 越沢自治会が営む「そば処 まやのやかた」。客のお目当ては、集落で古くから受け継がれてきた在来品種を使った「越沢三角そば」だ。

 地元産の自然薯(じねんじょ)をつなぎに使った手打ちそばは、口に入れるとナッツのような風味と香ばしさが広がる。週末中心の営業にもかかわらず、年間3千~4千人が訪れる。

 三角そばの生産者で、店でそばを打つ野尻善共さん(69)は「『おいしかった』『また来ます』と言われるのが何よりうれしい」と顔をほころばせる。

 今や集落に欠かせない越沢三角そば。昔から「地そば」「三角そば」と呼び、米の不作に備えて自家採種して作っていた。どの家でもそば打ちするほど、日常的に食べる文化が根付いていた。

 しかし、県が品種改良した「でわかおり」に次第に置き換わり、約10年前には作る家が2軒だけになっていた。

人口減や学校閉校に危機感

 当たり前のように食べていた…

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この記事を書いた人
清水康志
山形総局|庄内地区担当
専門・関心分野
人口減、地方創生、農林漁業、食文化、防災