「再建のお役に」13年ぶり川下りの船頭に復帰 熊本豪雨4年で祈り

今村建二 渡辺淳基
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 熊本県南部を中心に大雨に襲われ、計67人が死亡した熊本豪雨から4日で4年になった。流域で50人が犠牲になった同県を流れる球磨(くま)川では、この日朝から祈りが捧げられた。

 2020年7月4日、球磨川流域は線状降水帯の影響により各地で氾濫(はんらん)が起き、広い範囲で浸水被害が生じた。仮設住宅に住む人はピーク時に比べて1割以下まで減ったが、いまも217世帯の412人が身を寄せる。

 午前10時。同県人吉市第三セクター「球磨川くだり」の川下り船発船場では、社員11人が川に向かって整列し、サイレンにあわせて黙禱(もくとう)。その後、菊の花を流した。

 今年、13年ぶりに船頭に復帰した豊原彰さん(38)は「あっというまですね」と話した。

 生活の安定のため、一度は離れた川下りだったが、いつも気にかけてきた。4年前、発船場が濁流にのみ込まれ休業したときはショックだった。「もう川下りはできなくなるのでは」。しかし、仲間の奮闘で復活。「再建のお役に立ちたい」と、この世界に戻った。

 航路にたまる土砂でしばしば休航を余儀なくされるが、今年は4月に復活。多くの観光客を運んでいる。「人吉復活のシンボルになるよう、前を向いてがんばりたい」

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この記事を書いた人
今村建二
水俣支局長|水俣病・環境担当
専門・関心分野
地方政治、環境