元ユネスコ事務局長が語る世界遺産のいま 地域格差の是正は道半ば
編集委員・中村俊介
「世界遺産」の進むべき方向を示したグローバル・ストラテジー(世界戦略)が世界遺産委員会で採択されて30年。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の目標は達成されたのか。松浦晃一郎・元事務局長(86)に聞いた。
世界遺産の多くを占める文化遺産は欧州の建築物に偏り、アジアやアフリカなどとの地域格差が著しい。内容も教会建築や宮殿などへの偏重が目立っていた。
この不均衡を是正しようと1994年に設定されたのがグローバル・ストラテジーだ。文化的景観や産業遺産、20世紀建築の重視も示された。ユネスコの狙いは成功したのか。
「内容の多様化はかなり進ん…