中絶の権利、ハリス氏の鋭い「攻め」のテーマに 各地で住民投票計画

有料記事混迷を歩く アメリカ大統領選2024

グレンデール=中井大助 ワシントン=合田禄
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連載 混迷を歩く アメリカ大統領選2024:妊娠中絶編①

 米南西部アリゾナ州グレンデールで9日、ハリス米副大統領(59)が約1万5千人を前に演説した。聴衆が一気に沸き立つ場面があった。

「女性が体について決定する自由が脅かされている」

 「女性が自分の体について決定し、政府に指示を受けない自由が脅かされている」

 7月のバイデン大統領(81)の大統領選撤退後、急きょ後継候補となり、8月19~22日の民主党全国大会に臨むハリス氏。まだ政策面で独自色を鮮明にしているとは言えないが、共和党トランプ前大統領(78)との違いを明確に強調している分野がある。人工妊娠中絶の是非だ。

 米国では長く、人工妊娠中絶の是非が政治の主要な争点になってきました。「中絶を選択する権利は連邦憲法で保障されていない」と判断した22年の最高裁判決をきっかけとして、この問題をめぐる世論や社会運動の動向に、様々な変化が生まれています。

 米国では1973年、連邦最…

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この記事を書いた人
中井大助
ニューヨーク支局長
専門・関心分野
アメリカの社会、政治、文化
合田禄
アメリカ総局|科学・米国政治担当
専門・関心分野
科学、医療、気候変動、宇宙開発
  • commentatorHeader
    BossB
    (天文物理学者・信州大准教授)
    2024年8月17日18時0分 投稿
    【視点】

    中絶の権利に関する問題は生命を奪うか奪わないかという道徳・倫理問題ではない。人は牛を食べるしありを殺す。さらに生命(life)はどこから始まるのか?も科学的に解明されてはいない。では人殺しなのかそうではないのか?という道徳・倫理問題なのか?

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  • commentatorHeader
    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2024年8月17日22時4分 投稿
    【視点】

    上院議員だったハリスを一躍有名にしたのは、検事のキャリアを活かした厳しい尋問だったが、最も知られている尋問にも中絶問題が関わっていた。ハリスが今、中絶の権利を掲げて選挙を戦っているのにはそうした歴史があり、だからこその説得力がある。 20

    …続きを読む
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