元警察犬の災害救助犬、演技も一流 「天才犬」の名に込められた願い

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北村浩貴
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 現役の災害救助犬であり元嘱託警察犬、そして時には名役者⁉。1頭で3役をこなす「3頭流」の犬が岡山県赤磐市にいる。メスのシバイヌ「和晴(はる)」、9歳だ。

 5月中旬、岡山市出身の映画監督、大森青児さん(75)の新作「晴れの国」の試写会が市内であった。出演した和晴と飼い主の森邦子さん(54)が上映後の特別ゲストとして登場し、大森監督が力説した。

 「天才の犬。すごかったでしょ。犬だからかもしれませんが、全部『ワン』テイク」

 映画は、山あいで一人暮らしをする若者と老人の交流を通じて、家族の再生を描いた物語だ。前野朋哉さんと三田村邦彦さんがダブルで主役を務め、2人をつなぐ重要な役を和晴が演じた。岡山メルパ(岡山市北区)で7月18日まで上映中だ。

 本格的に撮影が始まったのは2023年5月。高梁市内での10日間のロケのうち、和晴は7日間現場に出た。座った状態から家のデッキに駆け上がり、その場で待つ。役者に寄り添って歩き、絶妙なタイミングでフレームアウトする。

 「これは出来ないだろうと思って(森さんに)頼んだら何でも出来る。本当にNGなし。和晴のおかげで映画ができたようなもの」。大森監督の絶賛は止まらない。

 大森監督は当初、東京や大阪の動物プロダクションでタレント犬を探したが、思うような犬が見つからなかった。映画スタッフの情報を頼りに探し続け、人を介して紹介されたのが、犬の訓練士の森さんと和晴だった。

 和晴に演技経験はなかった。本業は、がれきの中から人を捜索する災害救助犬だ。森さんの属するボランティア団体に自治体から依頼があれば、森さんと一緒に現場へ出る。県警の嘱託警察犬を経験したこともあるほか、そもそもシバイヌは暑さや寒さに強く、判断力もたけているという。

「これ以上、起こりませんように」

 「和晴」という名前の由来に…

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この記事を書いた人
北村浩貴
岡山総局
専門・関心分野
地方行政、地方政治、文化財、民俗学、スポーツ