記者コラム 「多事奏論」 編集委員(天草)・近藤康太郎
前菜3種に刺し身にバケツみたいな海鮮丼メガ盛り、ウナギの天ぷら2人前、牛タン焼き2人前、ホタテのみそ焼き2人前におでん盛り2皿、締めのお茶漬けを2杯。書いてるだけで胸焼けする量をそくそく食べてるのは、塾生のギャル原(28)である。山口・徳山であった読者様向けアロハ文章講座に遠方から参加したので、田んぼでこき使ってる礼に食わせてやったのだが、心配になってくる。
ここは主催の販売局が勘定を持つので、懐が心配なのではない。この量を食う資格が、ギャル原だけではない、日本人にあるのか。そこが心配だ。
農林水産省のサイトに「日本の食料自給率」というページがある。2022年度のカロリーベース自給率が38%という低さは知っている読者も多いだろう。ただ、実際はこんなもんじゃないらしい。
高橋五郎著「食料危機の未来年表」(朝日新聞出版)によれば、飼料も含めたほんとうの自給率は18%まで下がっている。ギャル原が胃に収めた牛肉は、どれだけの飼料を投入していることか。トウモロコシを日本は輸入に頼っている。
主食の米でさえ安泰ではない。長崎県旧田結村で、自治会の区長が「田んなかは今年で止(や)むうだいって思っちょう。もうきつしての」と衝撃発言をしている。わたしがやっとまっすぐ、稠密(ちゅうみつ)に、プロっぽく苗を植えられるようになったのは、区長の教えがあったからなのだ!
酷暑の泥田は高齢者にはきつ…
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