第4回生活苦で臓器売った20歳の女性 2歳の娘は無事か 家を再び訪れた
いまから2年前。異国の地で、20歳の女性に出会った。
明るい茶色の長髪に、鼻筋の通った顔立ち。
彼女は借金の返済のため、2カ月前に片方の腎臓を摘出し、お金に換えたばかりだった。20歳年上の夫の収入はほとんどなく、術後の薬代のために自分の携帯電話も売ってしまったと言った。
左の脇腹にできた15センチほどの傷を見せながら、「生活のためなら、仕方ない」と淡々と言う姿に、こちらが嘆息するほどだった。
取材中、当時2歳だった娘を慣れた感じであやしていた。
ただ、「このままでは生活できない。娘を別の家庭に売ろうと思っている」とこぼした瞬間、顔が険しくなったように見えた。
決して本意ではないのだろう。ただ、取材したアフガニスタンでは子どものいない家庭が30万円ほどで引き取ってくれるケースがあり、それにすがろうとしていたのだ。
自分が生き延びるためでもあるけれど、我が子が少しでも良い生活をして欲しいとの願いもあった。
取材を終えて、駐在先のインドに戻ってからも、ふとした瞬間に彼女たちのことを思い出した。どうしているだろうかと、ずっと気になっていた。
記者の仕事は、人に話を聞いて記事を書くことだ。ただ、政情不安の国で取材していると、どうしても一度会っただけになってしまう人も多い。
残ったもどかしさ
一期一会と言えば収まりは良いかもしれないが、もどかしさも感じていた。
今年6月、安全対策をしながら、彼女の自宅があったアフガニスタン西部ヘラート郊外に向かった。
泥や砂、小石でできた簡素な…
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