ふるさと納税、初の1兆円超え 「流出元」の自治体からは恨み節も
総務省は2日、全国の自治体が2023年度に受け入れたふるさと納税の寄付額が、初めて1兆円を超えたと発表した。寄付をした人も1千万人を超し、ともに過去最高だった。住民税を納める人の、およそ6人に1人が利用したことになる。
ふるさと納税は、寄付額のうち2千円を超える分が住民税などから控除される。「実質2千円」で、寄付先の自治体からさまざまな返礼品がもらえる。23年度の寄付額は1兆1175億円(前年度比16%増)で、4年連続で増えた。この間の伸びは2.3倍だ。
寄付を最も多く集めたのは、宮崎県都城市(193億円)で、2年連続でトップだった。北海道紋別市(192億円)、大阪府泉佐野市(175億円)が続いた。いずれも返礼品の人気が高い自治体だ。上位20自治体の顔ぶれは前年とほぼ同じで、全体の2割にあたる2200億円あまりを集めた。一部の自治体に寄付が偏っている実態がある。
寄付した人が受ける住民税の控除額(24年度)も、7682億円で最多だった。寄付をした分だけ、その人が住む自治体の税収は減る。こうした税収の「流出」は、人口が多い東京都で計1899億円、神奈川県では計796億円にのぼる。
ふるさと納税は、総務相を務めた菅義偉氏の肝いりで、08年に導入された。自治体間の過度な返礼品競争を国が規制する動きを繰り返しながらも、仲介サイトの宣伝効果などで知名度が高まり、ここ数年はとくに利用を伸ばしている。
返礼品を加えても、逃げる税収
ふるさと納税が1兆円を超す巨大マーケットになった。実質2千円の負担で豪華な返礼品をもらえるお得な制度だが、高所得者ほど恩恵が大きく、都市部からの税収の「流出」も深刻だ。制度はゆがみを抱えたまま、どこまで大きくなるのか。
「都内の自治体から100億…