日本はどこまで縮んでいくのだろうか。今年1月1日時点での人口は1億2156万1801人で、前年より86万人も減った。1年間で佐賀県や山梨県の全人口よりも多い数が減った計算になる。47都道府県でみると東京だけが唯一の人口増。地方を中心に国全体が沈み、首都だけに人が集まる流れは、ますます加速している。
消滅可能性自治体。有識者でつくる人口戦略会議がまとめたこの言葉が与えるショックは大きい。10年前から警鐘を鳴らしてきた日本郵政社長の増田寛也氏に、久しぶりに話を聞く機会があった。講演で「大変デリケートな問題だ」と強調しながら語り始めたのは、批判を意識しているからだ。
人口減の要因は複雑なのに、若年女性の割合を指標とすることに厳しい批判がある。「消滅」という過激な言葉で名挙げされた自治体には、競争を強いられる中でのレッテル貼りという反感が根強い。それでも「批判は歓迎」と増田氏はあえて甘受しながら、提言を続けている。
増田氏とは、岩手県知事時代に私が盛岡総局で勤務していた20年前から何度か、一極集中問題について議論してきた。私は隣の秋田県出身で、人口減少率で全国トップ、毎年1万人単位で減っている郷土への危機感を共有していたからだ。
国立社会保障・人口問題研究…