「泡沫候補」の存在意義に焦点当てた映画監督 都知事選で受けた衝撃

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聞き手・田玉恵美
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 ポスターの掲示枠が足りなくなるほど多くの候補者が立った7月の東京都知事選では、特定の政治団体が大量に擁立する事態を憂慮する声が上がりました。しかし、当選するはずがない「泡沫(ほうまつ)候補」たちの選挙戦を追った経験がある映画監督の藤岡利充さんは一概に批判する気にはなれないと言います。その理由を聞きました。

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 都知事選に過去最多の56人が立候補しました。「NHKから国民を守る党」などが24人も擁立したことを含めて批判的に見る声もありましたが、私は一概に否定する気にはなれません。自らの意思で立候補した人ならば、それだけで立派な政治行動だと思うからです。

 2011年の大阪府知事選の際、当選するはずがない「泡沫(ほうまつ)」と呼ばれる候補者たちを追って映画を作りました。彼らを取材してわかったのは、泡沫候補は政治に対してなんらかの不満があり、立候補という選択肢に気づいた人たちだということです。

 中にはまったく選挙運動をせず、ポスターも貼らず家から出ない人もいました。その彼でさえ、選挙公報政見放送によって「自分の思いを伝えられる」のだと話してくれました。一見して奇怪にうつる彼らの存在は、私たちにはだれにでも立候補する自由があると気づかせてくれます。

 泡沫候補が街角で選挙運動を…

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