物価下落の象徴だった家電に異変あり 消費者にとっての適正価格とは

有料記事経済インサイド

湯地正裕
[PR]

経済インサイド

 生活家電の販売価格の決まり方に変化が起きている。激しい価格競争によって「物価下落」の代名詞ともいえる存在だったが、メーカーの一部が従来の商慣習をやめたことが変化の一因になっている。物価高の今の時代に、消費者にとって「適正な価格」とは何か考えると、国内産業の課題やメーカーと流通との力関係の変遷もみえてくる。

 横浜市都筑区の家電量販店「ノジマららぽーと横浜店」。店内の価格表示には、「更にお値引き!」「価格はご相談ください!」の文言が上書きされている。一方、生活家電の一部には「メーカー指定価格商品」とだけ記載されていた。

 この「指定価格」とは、メーカーが指定した価格で店頭に並べてもらう代わりに、売れ残った在庫を引き受ける仕組み。値引きやポイント還元などの「価格交渉」が当たり前の光景になった家電量販店では、戸惑う消費者からの問い合わせに、店員が値引きできない事情を説明している。

指定価格はメーカーにとっても「もろ刃の剣」

 2020年に先行して導入したパナソニックでは、23年度は生活家電の販売額のうち高機能モデル中心に38%が対象になった。昨年11月に日立製作所グループ、今年4月には掃除ロボットを手がける米アイロボットの日本法人が追随した。日立では掃除機や洗濯機の6モデルを対象にしている。

 家電業界では新たな製品が発…

この記事は有料記事です。残り2356文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
湯地正裕
経済部|電機業界担当
専門・関心分野
金融・財政政策、地域の公共交通