自民党総裁選の候補者から、従来の安全保障政策の大転換を目指す発言が相次いでいる。アジアでの新たな集団防衛体制の構築のほか、「非核三原則」の一部見直しや原子力潜水艦保有といったタカ派色の強い訴えが目立つ。厳しさを増す安全保障環境が背景にあるが、実現性をめぐって政府内からは冷ややかな声も出ている。
「今日のウクライナは明日のアジアと言う人がいる。ロシアを中国に置き換え、ウクライナを台湾に置き換えたら、と思う方もいる。台湾有事は日本有事。私たちはきちんと考えておかなければならない」。石破茂元幹事長(67)は17日、那覇市での総裁選の演説会でこう訴えた。河野太郎デジタル相(61)も「東シナ海では、中国が一方的に力で現状変更をしようとしている。憲法論や法律論だけでない、自衛隊と在日米軍でどうやって日本を守るか、しっかりとした実際の議論をしなければならない」と強調した。
石破氏が公約に掲げるのが「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」の創設。軍事力を強める中国を念頭にアジアに集団防衛体制をつくろうという主張だ。一方、茂木敏充幹事長(68)は14日の公開討論会で「現状では集団的自衛権の全面的な行使は憲法との関係でどうなるのか。欧州と異なりアジアは多様な価値観、体制の国々から構成されており、中国との向き合い方も違う。現実的ではない」と指摘した。
■高市氏、「持ち込ませず」見…
- 【視点】
成果はともかく「核兵器のない世界」を唱えた岸田首相が退場することになり、タガが外れた感のある自民党総裁選の議論です。ただ、非核政策の見直しを口にする前に、戦後の長期にわたる自民党政権の間に、非核政策を骨抜きにする核密約(艦船の寄港・領海通過
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自民党総裁選挙2024
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