福島第一原発、根拠なき「2051年廃炉完了」 現実的な工程示せ
記者解説 科学みらい部・福地慶太郎
「燃料デブリが原子炉内のどこにどれぐらい分布するかが正確にはわからない。しかも、高線量の中で遠隔で作業しなければいけない。それが取り出しの難しさだ」
原子力規制委員会の前委員長、更田豊志氏は、燃料デブリの取り出しについて、こう解説する。
東京電力福島第一原発の1~3号機には推計880トンの燃料デブリがある。3基とも圧力容器の底を突き破り、外側の格納容器にまで広がっている。放っておけば、将来、建屋の老朽化などで放射性物質が漏れ出す恐れがある。政府と東電は、全て取り出して安全な状態で管理しようとしている。
東電の構想では、まずは2号機で試験的に3グラム以下を取り出し、2020年代後半に別の手法で段階的に取り出す量を増やす。それから、30年代初めに3号機で大規模な取り出しを始め、その後、1号機に展開する。
この構想の最初のステップが今年9月に始まった。東電は2号機の原子炉格納容器の側面にある貫通口から取り出し装置を挿入した。カメラの不具合で作業は1カ月以上中断したが10月28日に再開。燃料デブリを装置でつまみ、今月2日に装置ごと格納容器の外側の設備に入れた。線量が基準を下回り容器に収めれば初の取り出し成功となるが、これから続く道のりは深い霧に覆われている。
政府と東電は51年までの廃炉完了を掲げている。11年12月の工程表で示したものだ。
ポイント
福島第一原発の廃炉は、政府と東京電力が掲げる2051年までの完了は非現実的だ。溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を取り出すには100年超かかるとの試算もある。処理水問題の反省も踏まえ、地元と丁寧な対話を重ねて現実的な工程を探るべきだ。
当時の想定では21年までに…
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