「ガザで日本そばを食べたい」 その日暗転した日常、途絶えたSNS

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渡辺洋介
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 1年前、10月7日の午後5時。

 京都市内の大学に通っていた斉藤ゆずかさん(23)が自宅でスマートフォンを手に取ると、英語のメッセージが届いていた。

 「最近、日本そばの麺を買って、調理の仕方を調べてたんだ」

 パレスチナ自治区ガザに住む大学生、ディマさん(21)からだった。

 ガザで、日本そば? どこで手に入れたんだろう。

 数時間前、ハマスがイスラエルに越境攻撃を仕掛けたというニュースが流れていた。思わず、打ち込んだ。

 「あなたは安全なの?」

 「今のところは大丈夫。でも次に何が起こるかわからない。それでも、まだ料理のことを聞いていいのか、わからないんだけど、今日つくるのをすごく楽しみにしていたんだ。混乱させて、ごめんね」

 斉藤さんの指が止まった。

 ディマさんのほうが不安のなかにいるはずだった。謝る必要なんてない、という思いを込めて「いつだって食べることは大事だよ」と送った。

 斉藤さんは、パレスチナの若者と交流する学生団体「SHIRORU(しろる)」を2020年に立ち上げた。ディマさんは友人の友人で、ビデオ通話で1度話したことがある。

 そばの作り方を知りたくて、日本人である自分を思い出してくれたんだろう。

   ◇

 彼女は質問を始めた。

 「つゆは何からつくるの? こっちで見たのは、しょうゆ、ごま油、そして酢だったよ」

 そばつゆに、酢? それを入…

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この記事を書いた人
渡辺洋介
東京社会部
専門・関心分野
戦争、平和、核問題、東日本大震災
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