西岸で取材中に奪われた自由 許せなかったイスラエル兵の言葉とは

有料記事イスラエル・パレスチナ問題

村上友里
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 強い日差しが照りつける中、イスラエル兵に囲まれて数時間がたった。兵士が肩から下げた銃が目に入り、悪い予感が頭から離れない。自分が置かれた状況が現実と信じられず、何度も空をあおいだ。

 7月17日午前11時半ごろ、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸にある入植地オフラのバス停でイスラエル軍の兵士に車をとめられた。パレスチナ人の男性取材スタッフの車に乗り、イスラエルの入植地近くに住むパレスチナ人らの取材に向かう道中だった。

 銃を持った迷彩服姿の若いイスラエル兵数人がヘブライ語で話しかけてきた。スタッフによると、兵士たちは「軍の施設を撮影した」と言っているという。

 カメラやパスポート、スマートフォン、プレスカードを一方的に取り上げられ、車の外に出された。兵士から「なぜ許可なく軍の施設を撮影したのか」と強い調子で質問された。

 入植地の写真しか撮影していないと伝えたが、「うそつきだ。逮捕される」と言われた。

スタッフを「ハマス」と呼んだ兵士

 昨年10月以降、イスラエル…

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この記事を書いた人
村上友里
国際報道部
専門・関心分野
難民移民、人権、司法
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    高橋真樹
    (ノンフィクションライター)
    2024年8月30日16時11分 投稿
    【視点】

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